あそぼっ!

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いつもどおり、体調不良を大袈裟に言って幼稚園を休んで、暇を持て余していたある日、道端で同年代の男の子から話しかけられた。

「なにしてるの?」
「べつに」
「あそぼっ」
私はうなずいた。
「僕のうちにおいでよ」
私はついていった。

銭湯の建物の横にある小さな扉に入っていく。銭湯の経営者が大家をやっているアパートだ。
薄暗い廊下をはさんで、左右にみっつずつ扉があった。
男の子は右の2番目の扉を開けた。
「どうぞ」
私を中に案内してくれた。

小さなワンルームの部屋だった。
明かりがついていないので薄暗く、かすかに窓から入る日光を頼りに、脚を畳めるタイプのテーブルのそばに座った。
男の子はテーブルの前にある冷蔵庫を開けて、食べ物を出してくる。

「これ食べる?」
残り少ないバターだった。私は首を横に振った。
「これ食べる?」
次に味噌を出してきた。私はまた首を横に振った。
「おいしいのに⋯⋯」
男の子は寂しそうにつぶやいて、それらを食べ始めた!

「あっ、これ食べる?」
男の子は得意げに固形のカレールウを出してきた!
私はさらに引いてしまった。
男の子は悲しそうな顔をして必死でそれを食べていた。
あまりに必死な姿に私は怖くなり、逃げるように帰った。

数日後、母と買い物へ出かけた際に、銭湯の前を通りかかった。
私は男の子のことを思い出し、扉を指さして母に話しかけた。
「お母さん、ここ、お友だちの家なんだよ」
「なに言ってるの!」
母はなぜか怒り出した。
――なんで怒るんだろう⋯⋯。
不思議に思いながら繰り返した。「お友だちの家なんだって!」
そう言いながら、その男の子の名前を言おうとしたが思い出せないことに気づいた。
男の子の名前を聞いていなかったのだ。
これ以上、母を納得させることはできないとあきらめた。

小学生になってからある事実を知った。
そのアパートには母子家庭の部屋があり、母親が自殺したあと、残された子どもが餓死したという。
それから幽霊が出ると噂になり、私が男の子と遊んだころにはすべての部屋が空き家だったらしい。
アパートは事故物件として空き家のまま放置され、銭湯だけが継続して運営されていたという。

この話にはまだ続きがあったが、まだ知る由もなかった。

 

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