なぜそこに布団?

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舎人(とねり)から聞いた話。
ネットカフェでダラダラとインターネットをしながら夜をすごしていたときのこと。
外出が自由とのことで、ちがう階のトイレに行ったらしいのね。
(本人はノックされずにゆっくりトイレに入りたいらしい)
トイレを済ませて、エレベーターに戻らずに、なにげに反対方向が気になったらしいの。

――真っ暗だ。この廊下の先にはなにがあるのだろう⋯⋯。
よほど暇だったのねぇ。
それで、その暗がりの中を進んでいくと、少し広がりのあるスペースがあったらしいの。
でも部屋ではなくてビルの廊下。
――真っ暗でなにも見えない。
壁を触るとなにやらスイッチがあったので、カチッと入れてみたらしいのね。

ブオ~ン⋯⋯。
――あ、換気扇だ⋯⋯。ってことは給湯室かな。もう片方のスイッチを押してみよう。きっと電気だ。
カチッ。

「わっ! びっくりしたあ!」
おじさんが寝てた!(笑)
しかも! 給湯室の床に布団を敷いて寝てる!(笑)

舎人は瞬間「!!!」から「???」になったそうだけど、むくりとおじさんが起き上がり、眠たそうな顔で舎人の顔を見るので、舎人は思わず、
「すみませんでした」
と言って、また明かりを消したらしい⋯⋯。

――見てない、見てない。だれにも言わない、だれにも言わない。
舎人はそのおじさんが浮浪者で、24時間営業のネットカフェが入っているビルなら夜中に忍び込めると気づき、テナントが営業していない時間のフロアの給湯室でなら、バレずに眠れると踏んだのだろうと理解した。
――きっと、あの浮浪者は、私がこのビルのだれかに通報するんじゃないか、不安に思ってるはずだ⋯⋯。
舎人はかかわりたくないと思い、店員にも管理会社にも通報しなかったが、数秒後には私に電話していた(笑)

「今ね、今ね、ビルの床におじさんが寝てたんだ! 幽霊より怖いよ、マジで!」
「それ、幽霊じゃないの?」
「いや、幽霊じゃないよ⋯⋯。だって超くさかったもん! つい謝って、また真っ暗にしてあげたサ!」
「もし、幽霊と勘ちがいしてお祓いし始めたら、超ウケる!(笑)」
「浮浪者の人を助ける慈善団体に連絡しようかな⋯⋯。でも、布団敷いて、すっごい生活感あった! 得体のしれない黒い飲み物もあったし!」
「じゃあ、そこに住んでるんだわ。あなたも住めばいいじゃん(笑)」
「え~っ? あのおじさんといっしょに布団に入るの? いろんな意味でやだよ~! 幽霊より生きてる人間のほうが絶対に怖い!」

 

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