幼馴染のゆりちゃん

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私が生まれた頃から、同じ歳の女の子が隣の家に住んでいた。その子はゆりちゃんと呼ばれていた。物心つく前からの仲よしだった。

母からこんな話を聞いたことがある。
母が針仕事をしていたので、3歳の私が怪我をしないよう、柱に紐で縛っておいた。
自由が利かない私はどうにかしようとする。
あるとき紐を外して脱出し、隣の家に駆けこんで、いきなりゆりちゃんの鼻をかじったという。

それでも私たちは仲がよかった。
本当に特別な幼馴染だったのだ。

ところがゆりちゃんは小学校に上がる前に引っ越すことになってしまった。
親が家を新築したらしい。同じ市内だが歩いていける距離ではなかった。
当時の私にはその距離がどれほどのものかわからないだけでなく、自力で会いに行ける方法もなかった。

「ゆりちゃんが隣からいなくなっちゃう……もう会えないんだ……」

そんな悲しみを感じていたことをぼんやり覚えている。
母の話では、私のショックはかなりのものであったらしく、毎日ゆりちゃんの話をしていたらしい。

「ゆりちゃん、元気かなあ」

当時の私にとって、ゆりちゃんが特別だった理由がほかにもある。
私は3歳で腎盂腎炎を悪化させ死にかけた。一命を取りとめたものの病気がちの体となり、食べ物や飲み物は制限され、遊びも自由とはいえなかった。そんな私の暗い心を一変させてくれる唯一の友だちがゆりちゃんだったのだ。

ゆりちゃんのことを思いながら、私も小学生になった。
ゆりちゃんはちがう小学校に通っている。
学校でほかにも友だちはできたが、やはりゆりちゃんがいちばんだった。
ゆりちゃんを思う気持ちから、いつしか私たちは手紙のやり取りを始めた。

下手な字で一生懸命書いていたことを覚えている。
キャラクターのレターセットをお互い自慢する。
ときにはかわいいシールを同封したり、メモ帳を入れたりした。
鉛筆を入れて料金不足で返送されてきたこともあった。

これほど仲がよかったので、私たちは親の許可を得て、夏休み、冬休みとお互いの家にお泊りしに行ける間柄となった。



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