救急救命!

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昨年12月のお話。
その日はちょっぴり雪が溶けかけ、アイスバーンと泥が混ざった路面だった。
買い物帰りに歩いていると、ひとりのおばあさんが反対方向に向かって歩いていた。
その時、
――あっ、転びそう⋯⋯。
なんとなくそう思った。
すると、おばあさんは私の目の前でものの見事につまずき、前のめりに転んだ!!
「だ、大丈夫ですか!!」
慌てておばあさんを起こそうとしたのだが、体格のいい人だったのでなかなか起こせない。
しかも、彼女は両手をポケットに入れており、自分では起き上がる気力さえなさそうだった。
「起きれます? 手をポケットから出せます?」と、問いかけるも、
「う~、う~」とうめき声だけ。
――どうしよう、私だけじゃ起こせない!
周りは見て見ぬふりで通り過ぎていく。
「すみません、誰か手伝ってくれませんか?」と声をかけるものの誰も助けてくれない。
すると、どこからともなく現れたイケメン男子。
「大丈夫ですか?」と言ったかと思うと、素早くおばあさんを起こし脈をとり始めた!
起こされたおばあさんの顔面から血が出ていたのだが、なぜか鼻ではなく唇が切れて腫れていた。
「頭痛くないですか? めまいがしたんですか⋯⋯?」と淡々と質問をしていくイケメン男子。
この人、医療関係だと思った。
おばあさんは恥ずかしそうにそのイケメンに、
「私、鼻低いから、鼻は大丈夫だけど、唇切っちゃった」とちょっと笑える話をしていた。
イケメン男子が救急救命をしていると、そのようすを見て群がってくる女子。
――さっきは見ないふりで、通り過ぎてたのに⋯⋯。ちょっとむかつく。
処置を終え、イケメン男子は「お大事に!」と私に言い、爽やかに去っていった。
「ありがとうございます」と言ったが、
――あれ? 私、このおばあさんの身内だと思われたんじゃない?
「ち、ちがうんです~」と、後ろ姿に言いかけたが、急いでいたのかイケメン男子は去っていった。
そのイケメン男子を追うように女子たちも消えていった。
残されたおばあさんと私。
結局、おばあさんに肩を貸し、タクシーに乗せてひとり自宅に帰した。
私は帰ろうとし、ふと気付いた。
――えっ? え~っ! し、白いコートが泥だらけ~。しかも、血までついてる。(;´д`)トホホ
私は虚しさと放心状態で立ちつくす。
――親切って⋯⋯。イケメンだと報われるのね。(゚Д゚)ノそこ?

 

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