時代の流れ

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数日前より、ご近所で解体工事が行われている。
解体現場は馴染みの小さな病院。
私が幼い頃よりあったこの病院は内科と皮膚科、泌尿器科の病院だった。

小さいながらも入院もできたようなので昔はけっこう人が来ていたと思うが、数年前からは人が出入りする感じがなく、運営されていないようだった。
そんなある日、突然工事がはじまった。
なんだか、もの悲しい気がする⋯⋯。

私はこの病院に中学生の頃、一度だけ受診したことがあった。
なぜ近いのに一度しかなかったかというと、なんとなく泌尿器科といっしょということが嫌だったのかもしれない。
かかったのは皮膚科だった。
と、いっても先生はひとりで内科、皮膚科、泌尿器科をやっているので同じ先生だった。
看護師はひとりしかおらず、ほとんどの患者は男性だった。
中学生の私にとってはとても気まずかったことを覚えている。

看護師に呼ばれ診察室へと案内された。
「どうされましたか?」と老齢に見える先生が私に質問してきた。
当時の私にはお爺さんに見えたのだが、よくよく考えてみると若かったのかもしれない。ただ、第一印象が歳をとっている落ち着いた人だった。

私はモジモジしながら、
「あ、あの⋯⋯、顔のニキビがひどいので⋯⋯」
と言うと、ちょっと苦笑いで先生はカルテを書いた。

先生は黙って無言のまま私の顔を見ながら言った。
「これはサラダ油を塗れば治ります!」
「えっ? サラダ油ですか?」
私の質問をまったく聞かずに、処方箋を書くでもなくカルテを看護師に渡した。
「えっ? 終わりですか?」と聞くと、
「次の方、呼んで!」と、あっさり無視された。
看護師は小さなメモ書きにサラダ油の塗り方をメモしてくれて診察は終わった。

先生が言うことを信じ、帰りにサラダ油を買って帰ると母が「なに? なにするの?」と寄ってきた。
私は先生に言われたことを話しメモを見せた。
すると母は「先生が言うならそれで治るから。ちゃんとやりなさい!」と言うだけだった。

次の日より毎朝、毎晩サラダ油を塗る。痛みはそれほどなかったのだが、ヌルヌルが気持ち悪い。
数日間、ヌルヌルテカテカと闘いながら学校へ通っていると、やはり友達に笑われた。
「そんなんで治るわけないじゃん!」その言葉に、
――ごもっともです。
と心の中でいう私がいた。

それでも1ヶ月ほど先生の言うことを守ったのだが結局よくはならなかったのでやめた。
こうしてサラダ油はニキビには効かないということを学んだのだ。
あれから、何十年~(きみまろ風に)、
病院はやっていたのか、やっていなかったのかさえ気にすることなく時が流れ~、
数日前についに解体。

――きっと、院長が亡くなられたのではないか?
と勝手な想像をしながら、解体されていく病院をみているとやっぱり寂しく、もの悲しい気持ちになった。
時代が流れ、時が終わる。

 

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