泣かしてごめん

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小学1年生の秋のことだった。気がつくと、私はさとちゃんとふたりきりで遊んでいた。
いつもはほかにも数人いて、さとちゃんとふたりきりになることはなかった。ひとり、またひとりと、友だちが帰っていくうちに、たまたまさとちゃんとふたりきりになってしまったのだ。
私は「じゃ、また明日ね」と言って帰るつもりだった。
なぜかこの日のさとちゃんは意外なことを言った。「うち来る?」
私は断る理由がなかったので素直にうなづいて、さとちゃんについていった。

さとちゃんの家は父親と母親とさとちゃんの3人暮らし。母親も働いているので、さとちゃんは鍵っ子だった。
――鍵っ子いいなあ。
当時の私の家は母親の弟子の住み込み人数が多かったため大家族であり、自分の時間があるさとちゃんがうらやましく見えた。
さとちゃんとふたりで遊んでいるとトイレに行きたくなった。
「トイレ貸してね」
トイレを済ませて戻る途中、さとちゃんの父親が帰ってきた。
私は「こんにちは」とあいさつをしたが、父親は無言。
――遅い時間に遊びに来たから、怒ってるのかな⋯⋯。
慌ててさとちゃんのところへ戻り「私、帰るね⋯⋯」と伝えて帰ろうとすると、さとちゃんは、
「え? まだいてよ!」と珍しく大声で返してきた。
――え? 驚いたあ。いつものおとなしいさとちゃんが……びっくりしたあ。
私はもうしばらくいることにした。
「お父さん、帰ってきてるけどいいの?」
さとちゃんに聞くと、
「えっ?」と不思議がられた。
私は戸惑ったが、子どもなので深く考えずにそのまま遊び続けた。

ジリリリリーン! ジリリリリーン!
電話が鳴った。さとちゃんが受話器を取る。母親からだったようだ。
さとちゃんが電話で話しているあいだ、父親が近づいてきて私に言った。
「いつも遊んでくれてありがとう。もう帰りなさい」
「はい」と答え、私は慌てて帰る支度を始めた。
私の帰ろうとするようすを見てさとちゃんが泣きながら「帰っちゃうの?」と言う。
「どうしたの?」と聞いても答えてくれない。
「さっきお父さんに帰りなさいって言われたから帰るね」
そう伝えるとさとちゃんはさらに泣きだした。
私が困っていると、さとちゃんの母親が帰ってきた。
「さと!」
母親はさとちゃんを抱きしめた。
――私が泣かしたんじゃないからね。
私は慌ててその場を退散した。

 

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